ThreeTraderの税金と確定申告|年間取引報告書の出し方から経費・申告手順まで
ThreeTraderで年間の損益がプラスに乗ってきて、そろそろ確定申告のことが頭の片隅に引っかかっている。そんなタイミングでこのページを開いた方が多いんじゃないでしょうか。
ThreeTraderの利益は雑所得・総合課税になり、申告が必要になるラインは会社員なら年間20万円、専業や個人事業主なら年間48万円が分かれ目です。
ここで多くの人が取りこぼすのが、Raw口座の取引手数料(コミッション)です。この手数料は経費として損益から引けるんですが、年間取引報告書の別の欄に載っているせいで、そのまま見落とされがちです。引き忘れれば課税所得は実際より大きくなって、払わなくていい税金まで納めることになります。
もう一つ、年末年始をまたぐ決済にも落とし穴があります。サーバー時間と日本時間のズレで、決済日が1日ずれて申告する年が変わることがあります。
なお、税率や制度は改正されることがあります。最終的な数字は国税庁のサイトで確認して、判断に迷う部分は税理士へ相談してください。
最近の更新内容
この記事の見出し
- 1 ThreeTraderの利益にかかる税金の基本
- 2 ThreeTraderの確定申告はいくらから必要?
- 3 ThreeTraderの税金をシミュレーションで計算する
- 4 ThreeTraderの年間取引報告書をダウンロードする
- 5 ThreeTraderの口座タイプで変わる課税所得のギャップ
- 6 経費にできる費用
- 7 ThreeTraderの年末年始をまたぐ決済はどちらの年の所得になる?
- 8 ThreeTraderの確定申告をスマホとe-Taxで進める
- 9 ThreeTraderの損失をほかの利益と相殺できる範囲
- 10 税負担を抑える現実的な選択肢
- 11 ThreeTraderの税金を申告しないとどうなる?
- 12 ThreeTraderの税金と確定申告に関するよくある質問
ThreeTraderの利益にかかる税金の基本
ThreeTraderの利益にかかる税金は、国内FXとはまったく別のルールで動きます。国内FX業者の利益が一律20.315%の申告分離課税なのに対して、ThreeTraderのような海外FX業者の利益は雑所得として総合課税の対象になります。この違いが、税率にも、損失の扱いにも、申告の手間にも効いてくるわけです。
雑所得と総合課税で決まる税率
ThreeTraderの利益は雑所得に区分され、給与や事業所得などほかの所得と合算したうえで税率が決まります。これが総合課税です。税率は課税所得の大きさに応じて5%から45%まで段階的に上がる累進税率で、これに住民税がおよそ10%上乗せされます。
同じ100万円の利益でも、年収400万円の人と年収900万円の人では税負担がまるで違ってきます。給与が高い人ほど、FXの利益に高い税率が乗る仕組みになっています。
所得税の税率と控除額は、課税所得の帯ごとに決まっています。
| 課税所得金額 | 所得税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超〜330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超〜695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超〜900万円以下 | 23% | 636,000円 |
| 900万円超〜1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万円超〜4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
上の表で見てほしいのは、税率が跳ねる境目です。課税所得が330万円を1円でも超えると、超えた部分の所得税率は10%から20%へ上がります。ThreeTraderの利益がこの境目をまたぐかどうかで、負担感は変わってきます。
気を付けたいのは、この表が所得税の分だけを並べたものだという点です。ここに住民税の約10%と、復興特別所得税(所得税額の2.1%)が加わったものが、実際に納める金額になります。税率表の数字だけを見て安心していると、納付の段になって足りない、ということになりかねません。
課税されるのは決済したタイミング
ThreeTraderの利益に税金がかかるのは、ポジションを決済した瞬間です。含み益がどれだけ膨らんでいても、決済していなければ課税対象にはなりません。逆に含み損を抱えたまま年をまたいでも、その損失はその年の損益には反映されないことになります。
この「決済ベース」という考え方は、申告額を自分で動かせる余地を生みます。年末に含み益のポジションを持っていて、決済すればその年の所得になり、持ち越せば翌年の所得になる。申告ラインぎりぎりの人にとっては、決済のタイミングそのものが判断材料になるわけです。
スワップポイント(ポジションを翌日へ持ち越したときに受け取る、または支払う金利差)も同じ扱いです。ThreeTraderで受け取ったプラスのスワップは、決済時に損益へ組み込まれて課税対象になります。マイナススワップも同じで、決済損益から差し引かれる形で反映されます。
ThreeTraderの口座は外貨建てなので、損益は基本的にドル建てで記録されます。この損益を円に直すときの為替レートで、申告する金額は変わってきます。円換算の考え方は、年間取引報告書の章で扱います。
ポイントとキャッシュバックの扱い
ThreeTraderのポイントプログラムやキャッシュバックを受け取っている場合、課税されるかどうかは受け取った形で変わります。現金として口座残高に入った時点で、雑所得として課税対象に含まれます。
ポイントとして貯まっているだけの段階では、まだ課税対象ではありません。ポイントを現金やクレジットに交換した時点で、はじめて所得として認識されます。年間の損益を集計するときは、取引損益だけでなく、こうした受取分も足し込みます。
金額が小さいと見落としやすいのですが、税務署から見れば口座への入金記録は残っています。意図的に外したと受け取られると厄介です。
ThreeTraderの確定申告はいくらから必要?
ThreeTraderの確定申告が必要になるラインは、その人の働き方で変わります。会社員として給与をもらっている人と、専業トレーダーや個人事業主とでは、判定に使う金額そのものが違ってくるからです。
目安になるのは、給与所得者なら年間20万円、専業や個人事業主なら年間48万円。ただし、この数字は「利益」ではなく「経費を引いたあとの所得」で見ます。ここを取り違えると、申告不要のつもりが実は必要だった、という事故につながりますよ。
給与所得者は年間20万円が分かれ目
会社員やアルバイトなど給与をもらっている人は、給与以外の所得の合計が年間20万円を超えたときに、確定申告が必要になります。ThreeTraderの利益から経費を引いた金額が20万円以下なら、所得税の確定申告は不要という扱いです。
ここで引っかかりやすいのが、20万円がThreeTraderだけの金額ではないという点です。
給与以外の所得は、すべて足し合わせて判定します。ほかの海外FX業者の利益、仮想通貨の売却益、アフィリエイト収入、フリマアプリでの継続的な販売益、副業の原稿料。これらは全部同じ土俵に乗ります。ThreeTraderで15万円の利益、仮想通貨で10万円の利益なら、合計25万円で申告が必要になる計算ですね。
「ThreeTraderは20万円以下だから大丈夫」と考えていた人が、ほかの副収入を足したら超えていた。これが一番よくあるパターンだったりします。
さらに、20万円以下でも申告が必要になるケースがあります。年収2,000万円を超える人、2か所以上から給与を受け取っている人、ワンストップ特例を使わずに寄附金控除や医療費控除を受ける人。こうした人はそもそも確定申告書を出す立場になるので、その申告書にThreeTraderの所得も載せることになります。20万円ルールは、あくまで「確定申告をしなくていい人」に対する例外的な扱いです。
そしてもう一点。所得税の申告が不要でも、住民税の申告は別に必要です。この話は記事の後半で扱います。
専業・個人事業主は48万円が分かれ目
専業トレーダーや個人事業主の場合、判定ラインは基礎控除の48万円になります。所得の合計が48万円以下なら課税所得がゼロになるので、所得税は発生しません。
個人事業主の人は、事業所得とThreeTraderの雑所得を合算して判定します。事業所得が黒字で、そこにThreeTraderの利益が乗るなら、金額の大小に関係なく申告書へ記載することになる。もともと確定申告をしている立場なので、雑所得の欄に足すだけ、と考えて差し支えありません。
扶養に入っている学生や主婦(主夫)の方は、48万円というラインの意味が変わります。合計所得が48万円を超えると、扶養している家族の扶養控除や配偶者控除に影響が出ます。自分の税金だけでなく、世帯全体の税負担が増えるので、ラインの手前で止めるかどうかは家庭ごとの判断になりますね。
ラインを1万円超えただけで扶養から外れて、家族側の税負担が数万円単位で増えることもある。損得の計算は、自分の利益だけでは完結しません。
損失でも申告した方がいいケース
ThreeTraderで年間の損益がマイナスだった場合、確定申告の義務はありません。ただ、義務がないことと、しない方が得なことは別です。
まず、ほかに雑所得があるなら申告する意味があります。ThreeTraderで50万円の損失、別の海外FX業者で80万円の利益。この場合、両方を合算すれば雑所得は30万円まで圧縮されます。ThreeTraderの損失を申告に載せなければ、80万円まるごとに課税されることになるので、これはなかなか大きな差になります。
アフィリエイト収入や仮想通貨の利益、原稿料といった雑所得とも同じように相殺できます。その年に雑所得のプラスが一つでもあるなら、損失を申告書へ載せておくのが得策です。
ただし、海外FXの損失には繰越控除がありません。国内FXなら翌年以降3年間、損失を繰り越して将来の利益と相殺できますが、ThreeTraderの損失はその年のうちに使い切らないと、翌年へ持ち越せません。「今年は損失だけだから、来年の利益と相殺しよう」という考え方は通用しない、ということです。
もう一つ、住民税の観点でも損失の申告には意味があります。所得がなかったことを自治体へ伝えておくと、国民健康保険料の算定や各種証明書の発行がスムーズに進みますよ。
ThreeTraderの税金をシミュレーションで計算する
ThreeTraderの税金が実際いくらになるのか、数字で追ってみます。累進税率は「利益にそのまま税率をかける」わけではないので、計算式の順番を押さえておかないと、感覚と実額がずれてしまいます。
課税所得と税額の計算式
税額は、次の順番で出します。
最初に、ThreeTraderの年間利益から経費を引いて雑所得を出します。次に、給与所得などほかの所得と合算して、そこから基礎控除や社会保険料控除といった所得控除を引く。ここで残った金額が課税所得になります。最後に、課税所得に応じた税率をかけ、税率表の控除額を引いた金額が所得税になります。
課税所得×税率−控除額=所得税額。この控除額を引く工程を飛ばすと、税額を実際より大きく見積もることになってしまいます。
具体的には、課税所得が400万円なら税率は20%、控除額は427,500円です。400万円×20%=80万円から427,500円を引いて、所得税は372,500円になります。ここに復興特別所得税として所得税額の2.1%(約7,800円)が加わり、さらに住民税が課税所得のおよそ10%(約40万円)乗ってきます。
所得税と住民税を合わせた負担は、課税所得400万円のケースで78万円前後になります。
年収別の税額シミュレーション
ThreeTraderの利益が同じでも、給与の水準によって税負担は変わります。給与の水準を変えて、FXの利益が乗ることでどれだけ税金が増えるのかを試算してみました。所得控除は基礎控除と社会保険料控除のみで簡略化した概算値です。
| ケース | 課税所得の目安 | 利益に対する税負担 |
|---|---|---|
| 年収400万円+利益100万円 | 約270万円 | 約18〜19万円 |
| 年収600万円+利益300万円 | 約600万円 | 約85〜90万円 |
| 専業で利益500万円 | 約320万円 | 約55〜60万円 |
ケース1の会社員は、給与400万円から給与所得控除を引いた給与所得が約276万円になります。ここにThreeTraderの利益100万円が乗り、所得控除を引くと課税所得は約270万円になります。税率は10%の帯です。FXの利益がなければ課税所得は約170万円で税率5%の帯に収まっていたので、利益が乗ったことで一段上の税率へ押し上げられた形になりますね。所得税の増加分と住民税10%を足して、利益100万円に対する負担は18〜19万円ほどになります。
ケース2の会社員は、給与所得が約436万円です。そこへ利益300万円が乗ると課税所得はおよそ600万円まで伸びて、税率は20%の帯に入ります。所得税の増加分だけで50万円台後半、住民税30万円を足すと、利益300万円に対して85〜90万円ほどの負担になります。同じ利益額でも、給与が高い人ほど乗る税率が高くなるという構造がはっきり出ます。
ケース3の専業トレーダーは、ほかに給与がない分、税率の帯が低く収まります。利益500万円から経費と所得控除を引いた課税所得は約320万円で、税率は10%の帯。所得税と住民税を合わせて55〜60万円前後なので、利益に対する負担率で見るとケース2より軽くなる計算です。
この差が生まれるのは、海外FXが総合課税だからです。給与という「土台」の上に利益を積むのか、利益だけで積むのか。同じ利益額でも、土台の高さで最終的な税率が決まってきます。
会社員でThreeTraderの利益が伸びてきた人ほど、税率の境目を意識しておく価値があります。
国内FXとの税負担が逆転するライン
ThreeTraderと国内FXでは、税率の決まり方そのものが違います。国内FXは申告分離課税で、利益がいくらでも一律20.315%。対してThreeTraderは総合課税で、課税所得に応じて15%(所得税5%+住民税10%)から55%(同45%+10%)まで動きます。
この二つが逆転するのは、課税所得330万円あたりです。
課税所得が195万円以下なら、所得税5%+住民税10%で合計15%。国内FXの20.315%より軽く済みます。195万円超〜330万円以下の帯は、10%+10%で合計20%なので、国内FXとほぼ互角。そして330万円を超えると20%+10%で合計30%となり、国内FXの税率を明確に上回ります。
つまり、課税所得330万円を超えるあたりから、税率だけで見れば国内FXのほうが有利になります。
ただ、税率だけで業者を選ぶのは早計だと感じます。ThreeTraderにはゼロカットがあって、口座残高を超える損失(追証)を負わない仕組みになっている。国内FXは追証があるぶん、相場が急変したときのリスクの重さが違います。税率で数%の差を追って追証リスクを抱え込むのが得かどうかは、その人の取引スタイル次第です。
もう一点、この分岐点は課税所得で見ます。FXの利益額ではなく、給与も含めた合算後の金額で判定します。
計算の押さえどころ
税額は「課税所得×税率−控除額」で出します。税率は利益額ではなく給与を含めた課税所得で決まります。国内FXとの逆転ラインは課税所得330万円あたり。ここまで分かれば、自分の負担がどの帯に入るかは見当がつきますよ。
ThreeTraderの年間取引報告書をダウンロードする
ThreeTraderの年間取引報告書は、確定申告で年間損益を証明する土台になる書類です。国内FX業者のように「年間損益報告書」というPDFが自動で発行されるわけではないので、自分で取引履歴を出力して集計することになります。
出し方は、MT4から出す方法、MT5から出す方法、それに会員ページで損益を確認する方法があります。使っているプラットフォームに合わせて選ぶ形になりますね。
どのルートでも、期間の指定を1月1日から12月31日に合わせるところが共通の要になります。ここがずれると、集計そのものが狂ってしまいます。
MT4から年間取引報告書を出力する
MT4(MetaTrader 4)を使っている人は、ターミナルウィンドウから取引履歴を出力します。
手順としては、まずMT4を起動してThreeTraderの取引口座にログインします。画面下部のターミナルを開いて、「口座履歴」タブを選びます。この状態では直近の履歴しか出ていないことが多いので、履歴エリアの上で右クリックして「期間のカスタム設定」を開き、開始日を対象年の1月1日、終了日を12月31日に指定します。
期間を指定し直すと、その年に決済したすべてのポジションが一覧で出てきます。ここでもう一度右クリックして、「レポートの保存」または「詳細レポートの保存」を選ぶと、HTML形式のファイルとして書き出せます。詳細レポートのほうがコミッションやスワップの内訳まで拾えるので、申告向きですね。
保存したレポートをブラウザで開くと、決済損益の合計、スワップの合計、コミッションの合計が並びます。この3つを足し引きした金額が、その年のドル建ての損益になります。
つまずきやすいのは、期間指定を忘れたまま保存してしまうパターンです。デフォルトのままだと直近3か月分だけが出力されて、それを1年分と思い込んで申告してしまう。金額が明らかに小さいと感じたら、まず期間設定を疑ってみるといいですよ。
複数の取引口座を持っている人は、口座ごとにログインし直してレポートを出す必要があります。MT4は1つの口座しか同時に表示できないので、追加口座の損益がまるごと抜け落ちやすい部分になります。
MT5から年間取引報告書を出力する
MT5(MetaTrader 5)でも流れは似ていますが、画面の呼び名と操作の位置が変わります。
MT5では画面下部の「ツールボックス」を開いて、「履歴」タブを選択します。履歴エリアで右クリックして「期間のカスタム設定」を選び、対象年の1月1日から12月31日を指定します。ここまではMT4とほぼ同じ流れになりますね。
違いが出るのは出力形式で、MT5は右クリックの「レポート」からXLSX(Excel)形式やHTML形式を選べます。Excel形式で出せるぶん、MT5のほうが集計はしやすいです。取引ごとの損益・スワップ・手数料が列で並ぶので、そのまま合計すれば年間の数字が出ます。
注意したいのは、MT5がポジション単位と注文単位で履歴の見え方を変える点です。集計の基準を「ポジション」に揃えておくと、重複を避けられます。同じ取引を二重にカウントすると損益が実際と合わなくなるので、集計の前に見ておきます。
会員ページで年間損益を確認する
ThreeTraderの会員ページにログインすると、口座残高や取引履歴を確認できます。プラットフォームを開かずに、ブラウザから損益の概況をつかみたいときに使えるルートです。
ログインは、登録したメールアドレスとパスワードで行います。パスワードを忘れた場合は再設定の手続きから復旧できますが、口座番号やメールアドレスが必要になるので、申告時期に慌てないよう控えておきます。
会員ページの数字はあくまで確認用として、申告に使う正式な損益はMT4・MT5から出力したレポートで固めるのが確実です。
報告書を円換算して読む
年間取引報告書はドル建てで出てくるので、申告に使うには円へ直す必要があります。ここが海外FX特有の手間です。
レポートでは、次の欄を見ます。
- Profit(決済損益)
- Commission(取引手数料)
- Swap(スワップポイント)
この3つを合算した金額が、その年のドル建て純損益になります。Commissionはマイナス表記で出ることが多く、Swapはプラスにもマイナスにも振れます。
円換算の方法は、原則として取引ごとに決済日の為替レートを適用する形です。ただ、取引回数が多いと現実的ではないので、期中平均レートや年間平均レート(TTM、金融機関が公表する仲値)で一括換算する方法が実務では取られています。国税庁が公表している基準や、取引している金融機関の公表レートを使うのが一般的ですね。
大切なのは、どのレートを使ったかを一貫させて、根拠を残しておくことです。年ごとに換算方法をころころ変えると、税務署から見て不自然に映ってしまいます。使ったレートの出典と換算表を保存しておけば、あとから聞かれても説明できますよ。
換算レートの選び方に迷うなら、税理士に一度確認しておくといいですね。
ThreeTraderの口座タイプで変わる課税所得のギャップ
ThreeTraderの口座タイプは、税金の話とも直結します。同じ年に同じだけ利益を出したつもりでも、Raw口座とPure口座では、申告に載せる課税所得の数字が変わってくるからです。
理由は取引コストの取り方の違いにあります。Raw口座は狭いスプレッドに取引手数料(コミッション)を別建てで乗せる方式、Pure口座は手数料なしでスプレッドにコストを内包する方式です。
このコストが損益にどう反映されるか。ここを取り違えると、税金を払いすぎることになります。
Raw口座の取引手数料は経費になる
Raw口座で発生する取引手数料は、確定申告で経費として計上できます。取引に直接かかったコストなので、雑所得の計算上、利益から差し引ける費用になります。
問題は、この手数料が年間取引報告書の「Commission」という別の欄に載っている点です。決済損益(Profit)の欄だけを見て「今年は120万円の利益だった」と集計すると、手数料分がまるごと課税所得に残ってしまいます。
手数料は1ロット(取引量の単位)あたり数ドル単位でも、取引回数が積み上がれば年間で数万円から数十万円に届きます。短時間の売買を繰り返す人や自動売買を使う人ほど、この差は大きくなりますね。
Commission欄の合計を、必ずProfit欄から差し引く。Raw口座の人が最初に確認してみたいのはここです。
MT4の詳細レポート、MT5のXLSXレポートには、いずれもコミッションの合計が出力されます。集計シートを作るときはProfit・Commission・Swapの3列を並べて、合算した数字を申告に使う形にしておくと、取りこぼしを防げますよ。
Pure口座はスプレッドにコストが埋まる
Pure口座は取引手数料がかからない代わりに、コストがスプレッドへ内包されています。買値と売値の差そのものにコストが含まれる方式ですね。
この方式だと、コストは決済損益の中に自動的に反映されます。ポジションを持った瞬間からスプレッド分のマイナスを背負って、その状態で決済されるので、Profit欄の数字にはすでにコストが差し引かれた結果が出ています。
つまりPure口座では、経費として別途引く取引コストは基本的にありません。年間取引報告書のProfitとSwapを見れば、それがそのまま課税対象の損益になります。集計はこちらのほうが手間が少ないですね。
ただ、コストが見えにくいという裏返しもあります。年間でどれだけスプレッドコストを払ったのかが数字として残らないので、取引コストの改善余地に気付きにくい。税務上の手間は減りますが、コスト管理は自分で見ておく必要があります。
どちらの口座タイプが有利かは、取引スタイルによります。取引量が多くてコストを1銭単位で詰めたい人はRaw口座、集計や管理を軽く保ちたい人はPure口座、という整理になります。
手数料を引き忘れると税金を払いすぎる
ここまでの話を、実際の金額に落としてみます。Raw口座で年間の決済損益が120万円、コミッションの合計が20万円だったケースです。
コミッションを引かずに申告すれば、雑所得は120万円。引いて申告すれば、雑所得は100万円。差は20万円です。この20万円に、その人の税率がそのまま乗ります。課税所得が330万円超の帯にいる会社員なら、所得税20%と住民税10%で合計30%。20万円×30%=6万円が、本来なら払わなくてよかった税金ということになります。取引回数がもっと多い人だと、コミッションの年間合計が50万円を超えることもあって、同じ税率帯なら差は15万円になります。1年の取引でこれだけの金額が動くのに、原因は「レポートの別の欄を見ていなかった」という一点だけ、というのがなんとも痛いところです。しかも損益の数字自体は合っているので、間違いに気付く手がかりが少ない。税務署も、払いすぎの分をわざわざ教えてはくれません。
取引手数料を引き忘れるだけで、6万円を余分に納めることになるわけです。
ここは取り返せる部分でもあります。年間取引報告書を開いて、Commission欄の合計を確認する。それを損益から差し引いた数字を申告に使う。作業としては数分で終わりますよ。
過去に引き忘れたまま申告してしまった年があるなら、更正の請求という手続きで払いすぎた税金の還付を求められる可能性があります。期限があるので、心当たりがあれば税務署か税理士に早めに相談してください。
口座タイプは、あとから追加口座で切り替えることもできます。取引スタイルに合っていないと感じたら、来年の集計を楽にする意味でも、口座構成を一度見直しておくといいですね。
口座タイプ別・課税所得ギャップ
Raw口座はCommission欄の合計を損益から引きます。Pure口座はProfit欄にコストが織り込み済みで追加控除はありません。この一手間の有無で、課税所得は数万円から数十万円変わってきます。
経費にできる費用
ThreeTraderの利益から差し引ける経費は、取引手数料だけではありません。雑所得の経費として認められるのは「その収入を得るために直接必要だった支出」で、FXの取引環境を整えるための出費が広く含まれます。
経費が増えれば課税所得が下がり、税額も下がる。ここを丁寧に拾うかどうかで、最終的な納税額は変わってきますよ。
経費として認められやすい費用
FXの取引に直接ひもづく支出は、経費として認められやすい部類に入ります。
- 取引手数料(コミッション)
- VPSの利用料
- FX関連の書籍代
- セミナー参加費
- 有料の情報サービス
- 自動売買(EA)の購入費
取引手数料は前の章で見たとおりです。VPSは自動売買を24時間動かすためのレンタルサーバーで、取引のために契約しているなら利用料の全額が経費になります。
書籍やセミナーは、FXの知識を得るための支出として計上できます。ただし、内容がFXや投資と無関係なものは対象外です。自己啓発本や一般的なビジネス書だと、税務署から見て「取引に直接必要だったか」を説明しにくくなります。
セミナー参加のための交通費や宿泊費も、目的がFXの学習であれば経費に含められます。この場合、セミナーの案内メールや参加証、交通費の記録を残しておくと説明がしやすいですね。
取引専用に買ったパソコンやモニター、キーボードといった機材も経費になります。取引以外にほとんど使っていないものなら、全額の計上を検討できます。
ちなみに、取引資金の送金にかかった振込手数料も拾えます。細かいですが積み上げれば年間で数千円から数万円になることもあるので、拾っておいて損はないですよ。
按分が必要な費用と対象外の費用
プライベートと兼用している支出は、FXに使った割合だけを経費にします。これが按分です。
自宅で取引している場合の家賃は、取引に使っている部屋の面積割合や使用時間の割合で按分します。1LDKの一室を取引専用に使っているなら面積比、リビングの一角なら使用時間で計算する形になります。電気代やインターネット回線費、スマホ代も同じ考え方になりますね。
按分の割合に決まった正解はないんですが、合理的な根拠を説明できることが条件です。「なんとなく50%」では通りません。1日24時間のうち何時間チャートを見ているか、といった根拠を自分の中で持っておきます。
取得価額が10万円以上のパソコンは、その年に全額を経費にできません。減価償却として、耐用年数に応じて何年かに分けて費用化していく扱いになります。20万円のパソコンを買ったからといって、その年に20万円を引けるわけではない、ということですね。
一方で、明確に対象外になるものもあります。FXの取引資金そのもの、ThreeTraderへの入金額、生活費、私的な飲食代は経費になりません。入金した資金は「元手」であって、収入を得るための費用とは扱いが違います。ここを混同して入金額を経費に入れてしまうと、明らかな誤りとして指摘を受けることになります。
領収書がないときの証拠の残し方
経費として計上するなら、支出の証拠を残しておく必要があります。基本は領収書やレシートですが、オンラインの支払いだと紙が残らないケースも多いですよね。
その場合は、クレジットカードの利用明細、銀行の振込履歴、購入時の確認メール、決済画面のスクリーンショットなどが証拠になります。VPSや有料サービスの月額課金は、カード明細が実質的な証明になるので、年間分をまとめて保存しておくと申告時に困りません。
書類の保管期間は、白色申告なら5年、青色申告なら7年が目安です。申告して終わりではなく、あとから確認を求められる可能性があると考えて、年ごとにフォルダを分けて保管しておきます。
ThreeTraderの年末年始をまたぐ決済はどちらの年の所得になる?
ThreeTraderの年末年始をまたぐ決済は、申告する年がどちらになるのかが分かれる場面です。12月31日に決済したのか、1月1日に決済したのか。この1日の違いで、その利益が今年の所得になるか、翌年の所得になるかが変わってきます。
ややこしいのは、ThreeTraderのプラットフォームに表示される時刻が日本時間ではないことです。サーバー時間と日本時間にはズレがあるので、画面上の日付をそのまま信じると判定を間違えることがあります。
申告ラインぎりぎりの人にとっては、この1日が20万円ルールの内と外を分けることさえある。無視できない部分です。
ThreeTraderの年末年始の取引スケジュール
ThreeTraderの年末年始は、通常営業とは違うスケジュールになります。年内の取引は12月下旬のある時点で終了して、年始の取引開始も1月の数営業日後にずれ込むのが、海外FX業者の一般的な運用になります。
クリスマス前後から取引時間が短縮され、市場参加者が減ることでスプレッドが広がりやすくなる時期でもあります。この時期に無理やり決済しようとすると、想定より不利なレートで取引が成立することがあります。
年内の最終営業日と年始の開始日は毎年変わるので、12月に入ったら公式のアナウンスを見ておきます。
サーバー時間と日本時間で変わる決済日
MT4やMT5に表示される時刻は、ThreeTraderの取引サーバーの時刻です。日本時間ではありません。
海外FXのサーバー時刻は、多くの場合ヨーロッパ時間やGMT基準で設定されています。日本時間との差は数時間から、冬時間・夏時間の切り替えを挟めば6〜7時間ほどになることもあります。
ここで何が起きるか。日本時間の1月1日の早朝に決済したポジションが、サーバー時間ではまだ12月31日、という状況が生まれます。逆に、日本時間の12月31日の深夜に決済したつもりが、サーバー時間ではすでに1月1日になっていることもあります。
日本の税務上、どちらの年の所得になるかは日本時間の決済日で判定するのが基本です。サーバー時間の表示ではなく、実際に取引が成立した日本時間で年度を判断します。
ところが、年間取引報告書に出力される決済時刻はサーバー時間です。レポートをそのまま集計すると、12月31日と1月1日をまたぐ取引が、日本時間とは違う年に振り分けられる可能性があります。
実務としては、年末最後の数日と年始最初の数日に決済した取引だけ、サーバー時間と日本時間の差を確認して、必要なら年度をまたぎ直す作業が要ります。取引回数が少なければ、その数件を手作業で見るだけで済む話ですね。
この時差ズレを気にしなくていいのは、年末最終営業日の日本時間の日中に決済を済ませている人です。年内に確実に閉じておけば、どちらの年か迷う余地はありません。年またぎのポジションを持たないというのが、税務上はいちばん手間のかからない選び方じゃないでしょうか。
含み益に税金がかからない理由
年をまたいでポジションを持ち越した場合、その含み益にはその年の税金がかかりません。課税されるのは決済したタイミングだからです。
この仕組みは、申告ラインの調整にも使えます。会社員で、その年のThreeTraderの所得がすでに18万円まで積み上がっている。あと1回決済すれば20万円を超えて申告義務が発生する。こういう場面では、含み益のポジションを年内に決済せず翌年へ持ち越すという判断ができます。
逆に、その年の損失が大きくて、ほかの雑所得と相殺したいなら、含み損のポジションを年内に決済して損失を確定させるという考え方もあります。ただし海外FXの損失は翌年へ繰り越せないので、相殺できる利益がその年にないなら、損失を確定させても税務上のメリットは生まれません。
ポジションの持ち越しには相場リスクが伴います。税金のために不利なポジションを抱え続けるのは、本末転倒になりかねません。税務の都合と相場の判断は、切り分けて考えたいところですね。
ThreeTraderの確定申告をスマホとe-Taxで進める
ThreeTraderの確定申告は、書類をそろえて、申告書を作成して、提出して、納付する。この順に進めていく作業です。国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、スマホとマイナンバーカードだけで完結しますよ。
紙の申告書を税務署へ持ち込む方法も残っていますが、控除の面でも手間の面でもe-Taxのほうが有利です。
必要書類をそろえる
申告の前に、手元にそろえておく書類があります。
- マイナンバーカード
- 源泉徴収票(給与所得者)
- 年間取引報告書
- 経費の領収書・明細
- 各種控除証明書
- 還付金の受取口座情報
マイナンバーカードは、e-Taxで本人確認をするための必須アイテムです。持っていない場合はIDとパスワード方式も使えますが、事前に税務署で発行手続きが要ります。申告期限の直前だと間に合わないこともあるので、早めに動いておくと後が楽ですよ。
源泉徴収票は、給与所得と源泉徴収税額を入力するために使います。会社から12月から1月にかけて配られるものですね。
年間取引報告書は、前の章で出力したMT4・MT5のレポートです。ここから円換算した年間損益を割り出しておきます。
控除証明書は、生命保険料控除やiDeCo(小規模企業共済等掛金控除)、国民年金保険料などの証明書です。秋から年末にかけて郵送で届くので、なくさないよう1か所にまとめておくと申告時に慌てずに済みます。
スマホとマイナンバーカードで申告する
国税庁の確定申告書等作成コーナーは、スマホのブラウザからそのまま使えます。マイナンバーカードをスマホで読み取ってログインして、画面の質問に答えていく流れになります。
ThreeTraderの利益を入力する場所は、収入金額・所得金額の入力画面にある「雑所得」の欄です。ここで「業務」ではなく「その他」を選び、種目に「証拠金取引」などと記載します。収入金額に円換算した年間の利益、必要経費に取引手数料や按分した費用の合計を入れると、雑所得の金額が自動で計算されます。
迷いやすいのが、収入金額に何を入れるかという点です。ここには決済損益の合計を入れて、取引手数料は必要経費のほうへ回すのが分かりやすい整理です。損益から手数料をあらかじめ引いた純額を入れる方法もありますが、経費として別建てにしておいたほうが、あとから内訳を説明しやすくなりますよ。
給与所得者は、源泉徴収票の数字を「給与所得」の欄に入力します。スマホのカメラで源泉徴収票を読み取って自動入力する機能もあるので、手入力の打ち間違いが不安な人はこちらが便利です。
気を付けたいのが、所得控除の入力です。社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除、寄附金控除などをここで入れていきますが、ふるさと納税をしていて確定申告をする場合、ワンストップ特例は無効になります。寄附金控除としてこの画面で申告し直さないと、ふるさと納税分の控除が丸ごと消えます。
すべて入力すると、納付する税額または還付される税額が表示されます。内容を確認して送信すれば、申告そのものは完了です。送信後は受付結果を確認して、申告書のデータをPDFで保存しておくと安心ですね。
会計ソフトや税理士に任せる
取引回数が多くて、集計だけで日が暮れそうな人は、会計ソフトを使う手があります。クラウド型の確定申告ソフトなら、雑所得の入力と申告書の作成、e-Taxでの送信までひと続きで進められますよ。
税理士に頼むかどうかの判断軸は、利益の規模と取引の複雑さです。ThreeTraderに加えてほかの海外FX業者、仮想通貨、副業収入と所得が分散していて、経費の按分も絡む。こういうケースだと、税理士に払う費用より、判断ミスによる追徴や払いすぎのほうが大きくなることがあります。
法人化を検討する規模まで来ているなら、その相談も含めて一度専門家に話を通しておくと、動き方が整理されますね。
申告期限までに納付する
確定申告の期間は、原則として翌年の2月中旬から3月中旬までです。この期間内に申告書を提出して、所得税を納付します。
納付方法は複数あります。振替納税を選べば銀行口座から自動で引き落とされ、納付日が申告期限より後ろにずれるので、資金の準備に少し余裕が生まれます。ほかにも、e-Taxからのダイレクト納付、クレジットカード納付、コンビニ納付、金融機関の窓口納付が使えます。
申告を期限内に済ませても、納付が遅れれば延滞税が発生します。申告と納付は別の手続きです。
住民税のほうは、確定申告のデータが自治体へ回って、6月頃に納付書が届きます。会社員の場合、給与から天引きされる特別徴収か、自分で納める普通徴収かを申告書上で選べます。
申告期限は年によって微妙に動くので、その年の日付は国税庁のサイトで確かめておきます。年間取引報告書の出力だけでも、慣れないうちは時間を取られます。1月のうちにレポートを出しておくと、3月に入ってから焦らずに済みますよ。
ThreeTraderの損失をほかの利益と相殺できる範囲
ThreeTraderの損失は、相殺できる相手とできない相手がはっきり分かれています。ここを取り違えると、「国内FXの利益と相殺できると思っていたのにできなかった」という誤算が起きます。
判断の軸は、相手が同じ「雑所得・総合課税」の枠にいるかどうか。ここだけです。
ほかの雑所得とは損益通算できる
ThreeTraderの損失は、同じ雑所得の枠にある利益と相殺できます。
相殺できる相手は、ほかの海外FX業者の利益、仮想通貨の売却益、アフィリエイト収入、原稿料、ネットオークションの継続的な販売益など。どれも総合課税の雑所得として扱われるので、同じ土俵で足し引きができます。
ThreeTraderで40万円の損失、別の海外FX業者で90万円の利益。この場合、雑所得は50万円まで圧縮されます。差の40万円に税率が乗らずに済むので、税率30%の帯にいる人なら12万円ほどの違いになる計算ですね。
ただし、この相殺は申告書に両方を載せてはじめて成立します。損失のほうを書かなければ、税務署が勝手に引いてくれるわけではありません。マイナスの年こそ、申告書に載せる意味があるということです。
国内FX・給与とは通算できず繰り越せない
国内FXの利益とThreeTraderの損失は、相殺できません。国内FXは申告分離課税、海外FXは総合課税で、課税の枠が別だからです。
同じFXなのに、と思うところですが、制度上は完全に別物として扱われます。国内FX業者で200万円の利益、ThreeTraderで100万円の損失。この場合、国内FXの200万円には20.315%の税金がそのままかかって、ThreeTraderの損失は行き場を失います。
給与所得との相殺もできません。雑所得のマイナスを給与所得から引く、いわゆる損益通算は、雑所得では認められていない扱いです。
そして、損失の繰越控除もありません。国内FXなら確定申告をしておけば翌年以降3年間にわたって損失を繰り越せますが、ThreeTraderを含む海外FXの損失は、翌年へ1円も持ち越せません。
この繰越不可という点は、海外FXの税制でいちばん重い部分だと感じます。年をまたいだ長期の収支で見ると、負けた年の損失が税務上まったく報われない構造になっている。制度の割り切りとして受け止めるしかない部分ですが、その年のうちにほかの雑所得と相殺しておけば、損失を丸ごと無駄にせずに済みます。
追加口座や他社口座の損益は合算する
ThreeTraderは1人で複数の取引口座を持てます。追加口座を作って口座タイプを使い分けている人も多いはずです。
申告のときは、これらの口座の損益をすべて合算します。A口座で50万円の利益、B口座で20万円の損失なら、合算した30万円が申告する金額になります。口座単位で申告するわけではありません。
ここで起きやすいのが集計漏れです。メインで使っている口座のレポートだけを出して、しばらく放置していた追加口座の損益を入れ忘れる。他社の海外FX口座を持っている人なら、そちらの損益も同じ雑所得として合算する必要があります。年末に、自分が持っている口座を一度リストアップしておくと漏れずに済みます。
税負担を抑える現実的な選択肢
海外FXの税金を軽くする「抜け道」は存在しません。出金しなければ見つからない、海外の銀行を使えば追えない、といった話は現実的ではないうえ、発覚したときの代償が大きすぎます。
できるのは、制度の範囲で課税所得を下げることだけです。経費を漏れなく拾い、所得控除を積み上げ、規模が大きくなったら法人化を検討する。現実的に取れる手はこのあたりです。
所得控除を積み上げる
所得控除は、課税所得そのものを下げる仕組みです。総合課税で税率が高い帯にいる人ほど、控除1万円あたりの節税効果は大きくなります。
使いやすいのは、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金、医療費控除、生命保険料控除、社会保険料控除あたりですね。iDeCoは掛金の全額が所得控除になるので、税率30%の帯にいる人なら、年24万円の拠出で7万円強の税負担が下がる計算になります。
ふるさと納税は厳密には税額の前払いに近い性質ですが、返礼品のぶんだけ実質的な負担が軽くなります。ThreeTraderの利益が乗ると控除の上限額も上がるので、利益が出た年ほど使いでがありますよ。
法人化の損益分岐を見極める
ThreeTraderの利益が安定して大きくなってきたら、法人化という選択肢が視野に入ります。
個人の総合課税は最大55%まで上がるのに対して、法人税の実効税率は所得800万円以下の部分でおよそ20%台、それを超える部分でも30%台に収まります。個人の税率が法人税率を上回る水準まで利益が伸びれば、法人のほうが税負担は軽くなる計算です。
目安としてよく挙げられるのが、課税所得900万円あたりのラインです。ここを超えると個人の所得税率が33%へ上がるので、法人税率との差が意識され始めます。
法人化にはほかにも利点があります。損失を最長10年繰り越せること、役員報酬や退職金といった経費の使い方が増えること、家族へ給与を出せること。海外FXの損失が繰り越せない個人と比べると、この差は大きいですね。
ただ、コストも発生します。設立費用が数万円から数十万円、赤字でも法人住民税の均等割が年7万円ほど、税理士への顧問料が年間で数十万円。これらのランニングコストを上回る節税効果が出るかどうかが、判断の分かれ目になります。
法人口座の受け入れ可否は業者ごとに条件が違うので、法人化を進める前にThreeTraderの対応状況も見ておきます。分岐点の判断は個々の事情で変わるので、税理士に一度試算してもらうのが早いです。
ThreeTraderの税金を申告しないとどうなる?
ThreeTraderの税金を申告しなかった場合、どこかの時点で税務署に把握されると考えておくのが現実的です。海外業者だから追えない、という発想はもう通用しなくなっています。
そして把握された場合、本来の税額に加えてペナルティが乗ります。無申告加算税、延滞税、悪質と判断されれば重加算税。もともと払うはずだった金額の1.5倍近くを納めることになるケースもあります。
国外送金等調書とCRSによる把握
税務署が海外FXの利益を把握する経路は、送金の記録と、国際的な口座情報の交換です。
一つが国外送金等調書です。金融機関は、100万円を超える海外への送金・海外からの入金があった場合、その情報を税務署へ提出することが義務付けられています。ThreeTraderから100万円を超える出金をして日本の銀行口座で受け取れば、その記録は税務署へ届く仕組みですね。
もう一つがCRS(共通報告基準)です。これは各国の税務当局が非居住者の金融口座情報を自動的に交換する国際的な枠組みで、日本も参加しています。海外の金融機関に日本の居住者が持つ口座の残高や入出金の情報が、日本の国税当局へ共有されるという仕組みです。アメリカとの間では、FATCAという同じような情報交換の枠組みも動いています。
海外に資金を置いておけば見えない、という時代ではなくなった、というのが実態です。
100万円以下の出金を繰り返せば調書に載らない、と考える人もいますが、送金を意図的に小口へ分ける動きそのものが不自然なものとして目に留まります。
無申告加算税と延滞税のペナルティ
申告をしないまま税務署から指摘を受けた場合、本来の税額に加えて複数のペナルティが課されます。
無申告加算税は、期限内に申告しなかったことへの罰則です。税務調査の通知を受けてから申告した場合、納付すべき税額に対しておおむね10%から20%程度、金額が大きくなるとさらに上乗せされる仕組みになります。調査の通知を受ける前に自主的に期限後申告をすれば、この割合は軽くなります。
延滞税は、納付が遅れた期間に応じて発生する利息のようなものです。法定納期限の翌日から納付日までの日数分がかかるので、遅れが長引くほど積み上がります。
そして最も重いのが重加算税です。売上を意図的に隠したり、帳簿を偽ったりといった仮装・隠蔽が認定されると、35%から40%という重い割合が課されます。悪質と判断されれば、脱税として刑事罰の対象になる可能性もあります。
本来100万円で済んだ税金が、加算税と延滞税を重ねて150万円近くに膨らむ。数年分をまとめて指摘されれば、金額はさらに大きくなります。しかも、その資金がすでに取引で失われていたとしても、納税義務は消えません。
裏を返せば、期限内に申告して納めていれば、こうした上乗せは一切かかりません。申告を忘れていたことに気付いたなら、税務署から連絡が来る前に自主的に期限後申告をするのが最善です。加算税が軽くなるうえ、悪質と見なされるリスクも下がります。放置するほど不利になる構造なので、気付いた時点で動くのが正解ですね。
無申告に気付いたときの動き方
税務署からの連絡を待たず、自主的に期限後申告をします。加算税が軽減され、悪質と判断されるリスクも下がります。過去年分をさかのぼる場合は、税理士に相談してから動くと手戻りが少なくて済みますよ。
20万円以下でも必要な住民税の申告
20万円ルールは所得税の話であって、住民税には適用されません。ここが見落とされやすい部分です。
給与所得者でThreeTraderの所得が20万円以下なら、所得税の確定申告は不要です。ただ、住民税については金額にかかわらず申告する義務があります。1万円の利益でも、住民税の申告対象になるという扱いです。
手続きは、お住まいの市区町村役場の窓口で行います。住民税申告書にThreeTraderの所得と経費を記載して提出する流れになります。所得税の確定申告をした人は、そのデータが自治体へ回るので、住民税の申告は不要になります。
会社に副業を知られたくない人は、住民税の徴収方法にも目を向けておきます。特別徴収のままだと住民税額が給与に対して不自然に高くなって、会社の経理から気付かれる可能性があります。申告書で普通徴収を選べば、自宅に納付書が届く形になります。
ただし、自治体によっては普通徴収を選べないケースや、選択欄の書き方が違うケースもあります。窓口で確認しておくと確実です。
ThreeTraderの税金と確定申告に関するよくある質問
ThreeTraderの税金と確定申告について、迷いやすいところを質問形式でまとめました。個別の判断が必要な部分は、税理士や税務署へ確認するのが確実です。
Q. ボーナスはある?
ThreeTraderは口座開設ボーナスや入金ボーナスを用意していません。そのぶんをスプレッドの狭さと低コストに振っている業者ですね。ボーナスがないので、ボーナスの課税や消失を気にする必要もありません。
Q. 学生や主婦でも申告は必要?
ほかに収入がない学生や主婦(主夫)の方は、所得が48万円を超えたときに申告が必要になります。パート収入がある場合は、給与所得と合わせた判定になります。扶養に入っている人は、48万円を超えると扶養控除にも影響が出ます。
Q. 税理士に依頼するといくらかかりますか?
依頼内容と取引の規模で変わりますが、個人の確定申告のみなら数万円から十数万円が一つの目安です。取引回数が多くて集計から任せる場合や、複数業者・複数所得が絡む場合は、そのぶん費用が上がります。見積もりを複数取ってから決めるといいですね。
Q. 出金しなければ税金はかからない?
出金の有無は関係ありません。課税されるのはポジションを決済した時点なので、ThreeTraderの口座に利益を置いたままでも申告義務は発生します。「出金していないから見つからない」は、国外送金等調書やCRSがある以上、通用しない考え方です。
Q. ThreeTraderは納税用の証明書を発行してくれますか?
国内FX業者のような年間損益報告書の自動発行はありません。申告に使う損益は、MT4・MT5から出力した取引履歴レポートで代用します。税務書類としての証明が必要な場合は、サポートへ問い合わせて対応可否を聞いてみてください。
Q. 還付金はいつ入金されますか?
e-Taxで申告した場合、おおむね2〜3週間程度で指定口座に振り込まれます。書面で提出した場合はもう少し時間がかかって、1か月以上になることもあります。申告時期が混み合うほど遅くなる傾向がありますね。
Q. デモ口座の利益も課税されますか?
デモ口座の損益は仮想の数字なので、課税対象になりません。実際の資金が動いていないため、所得としては扱わない整理です。リアル口座の損益だけを集計すれば問題ありません。
Q. ThreeTraderのサポートに税金や確定申告の相談はできますか?
ThreeTraderのサポートは、取引や口座に関する対応が中心です。税務相談は業務の範囲外になるので、税額の計算や申告方法については税理士か税務署へ確認する形になります。取引履歴の出力方法など、プラットフォーム操作に関する質問なら対応してもらえます。





