「ご祝儀3万円じゃ足りない」!? 参加者と主催者でズレる金銭感覚を分析

調査概要
| 発信主体 | Song合同会社 | 
|---|---|
| モデル世帯 | 参列者モデルA:27歳・独身・賃貸1K・会社員(年収¥380万)/友人・同僚としての参列を想定 主催者モデルB:33歳・共働き・賃貸2LDK・世帯年収¥800万/挙式披露宴80名を想定(会場:都市部ホテル) | 
| 調査対象 | 20〜40代全国男女(直近3年以内に結婚式に参列または主催した人) | 
| 有効回答数 | 320人 | 
| 調査方法 | インターネット調査 | 
| 調査期間 | 2025年10月15日〜30日 | 
| 通貨 | 日本円(円)で表記 | 
参列者の相場感と実費──「3万円」で足りた? 追加費用の実態

ご祝儀の基準は、友人・同僚が¥30,000、親族が¥50,000、職場関係が¥20,000〜¥30,000という回答が最多でした。
「3万円で足りた」は48%、「足りなかった」は37%、「どちらともいえない」は15%。
参列時の追加費用は平均¥27,400(交通¥9,800/宿泊¥10,600/衣装・美容¥7,000)で、遠方や繁忙期では¥40,000超も珍しくありません。
- 友人・同僚:最多帯¥30,000(66%)
- 親族:最多帯¥50,000(58%)
- 職場:最多帯¥30,000(42%)、次点¥20,000(31%)
参列者の声
- 「遠方開催で交通と一泊がかさみ、トータル¥100,000近くに。」— A.K., 29, 事務
- 「ドレスのレンタルとヘアセットで¥20,000追加。ご祝儀¥30,000でも体感は¥50,000。」— M.S., 27, 販売職
- 「職場関係は同調圧力で¥50,000に。二次会費¥10,000も地味に効く。」— T.N., 35, エンジニア
主催者のコスト構造──一人当たり原価と損益分岐点、80名ケースの試算

都市部ホテル想定の一人当たり原価は¥33,000前後。内訳は料理¥16,000/飲料¥3,000/引出物¥4,500/会場費按分¥7,500/演出¥2,000。これに新郎新婦の衣装・写真・装花・司会・ペーパー類・リハ等の固定費¥550,000を加味します。
収支の分岐点(概算)
損益分岐の平均ご祝儀単価は、人数により変動。たとえば80名の場合、
(一人当たり原価¥33,000 × 80名)+固定費¥550,000 = 総費用¥3,190,000
分岐となる平均ご祝儀額は¥3,190,000 ÷ 80 = ¥39,875/人(およそ¥40,000/人)。
モデルB:80名の損益シミュレーション
- ゲスト構成:親族20名(¥50,000)、友人45名(¥30,000)、職場15名(¥30,000)
- 収入(ご祝儀):¥2,800,000(= 20×50,000 + 60×30,000)
- 変動費:¥2,640,000(= 80×33,000)
- 固定費:¥550,000
- 損益:▲¥390,000(赤字)
実態として、友人・職場の最多帯が¥30,000である限り、親族比率が低い場合は赤字に振れやすく、自己負担が数十万円規模になりやすい構造が確認されました。
主催者の声
- 「ビデオや装花を削っても写真と衣装は外せず、最終的に¥300,000ほど自己負担に。」— R.O., 33, 企画
- 「会場の最低保証人数に合わせるため、少人数化が難しかった。」— Y.T., 34, 公務
- 「親族が少ない構成だと、平均¥30,000前提では厳しいと実感。」— K.H., 32, 医療
ギャップを埋める打ち手──会費制・キャッシュレス・平日割・少人数化・二部制

認識ギャップを縮めるための実務的な選択肢と、新郎新婦と式場関係者に聞いた期待できる効果(調査回答の中央値ベース)を示します。
- 会費制:明朗会計化でゲスト満足度+12pt/主催の赤字リスク▲15〜20%
- ご祝儀のキャッシュレス化:受付の待ち時間▲35%、現金準備の負担軽減。決済手数料は1〜2%想定だが、ゲスト利便性満足度82%
- 平日割:会場・演出が▲10〜25%、人気シーズンでも柔軟性向上
- 少人数化(家族婚・親族中心):総額▲20〜35%、一人当たり満足度は維持または上昇
- 二部制(挙式・会食/友人中心のパーティ):演出を分散し、単価コントロールと交流の質を両立
参列者へのインフォメーション設計
- ドレスコードと温度感(セミフォーマル/平服可 等)を明記し、衣装費の過剰化を防ぐ
- 遠方ゲスト向けアクセス・宿泊ガイド(提携料金・最寄り駅・終電目安)を前広に案内
- キャッシュレス可否・方法(QR/タッチ)を招待サイト・招待状で明示
- 二次会の有無・会費を先出しし、当日の出費を可視化
ゲスト・主催者の声
- 「会費制で総額が読めて助かった。服も手持ちで済ませられた。」— S.M., 28, デザイナー
- 「キャッシュレス受付で渋滞が解消。受付担当の負担も大幅減。」— J.I., 31, 事務
- 「平日夕方スタート+少人数に切り替え、見積が▲¥450,000に。」— D.Y., 33, 営業
まとめ
本調査は、参列者の「ご祝儀¥30,000」という相場観と、主催者の一人当たり原価¥33,000+固定費というコスト現実のズレを定量化しました。
80名想定では、平均ご祝儀¥40,000/人程度が損益分岐の目安。会費制、キャッシュレス、平日割、少人数化、二部制などの組み合わせにより、主催の自己負担を▲15〜35%程度圧縮できる可能性が示唆されました。
ゲスト側の出費はご祝儀以外に平均¥27,400の追加費用が発生。主催側はインフォメーション設計を強化し、ゲスト負担の読める設計と体験価値の最適化を両立させることが重要です。