海外FXのMAM・PAMMは危険?仕組みと注意点を解説
公開日:2025.01.27
更新日:2025.01.27
海外FXのMAMとPAMMは初心者にとって魅力的に見えるかもしれませんが、実際には非常に危険なので、手を出さないことをおすすめします。
これらは、他人に資金運用を任せるFX版の投資ファンドのようなものです。
この記事の見出し
MAMとPAMMの基本的な仕組み
MAMとPAMMは、FX初心者でも簡単に始められる反面、多くの危険性が指摘されています。
基本的な仕組みは以下の通りです。
- FX会社が選んだトレーダーが、あなたの代わりに取引を行います
- 利益が出た場合、その15~30%程度を手数料として運用者に支払います
- 損失が出た場合は手数料は発生しません
これらは投資信託やファンドに似た仕組みで、自分の資金を第三者に運用してもらうFX版の投資ファンドのようなものと言えます。
MAM口座とPAMM口座の違い
MAM口座とPAMM口座には、いくつかの重要な違いがあります。
特徴 | MAM口座 | PAMM口座 |
---|---|---|
資金管理 | 顧客の専用口座 | 運営者のマスター口座 |
取引状況 | 詳細確認可能 | 確認不可 |
透明性 | 高い | 低い |
運用者の視点 | トレード手法が公開される | トレードが非公開 |
MAM口座では、あなたの資金は専用の口座で管理され、運営者には取引発注の権限だけが委託されます。
一方、PAMM口座では、あなたの資金は運営者のマスター口座で管理され、資金と取引発注の両方の権限が運用者に委託されます。
この違いにより、MAM口座では取引の詳細な履歴を確認できますが、PAMM口座では資金の増減しか確認できません。
つまり、MAM口座の方が透明性が高いと言えます。
しかし、運用者の立場からすると、MAM口座ではトレード手法が全て公開されてしまうため、手法をマネされるリスクがあります。
そのため、海外FX会社ではPAMM口座の方が主流になっているのが現状です。
MAM/PAMMとEAの違い
MAM/PAMMとEA(エキスパートアドバイザー)による自動売買は、どちらも資産運用を他者に任せるという点で似ています。
しかし、以下のような重要な違いがあります。
1. 取引を行うのが人かシステムか
- MAM/PAMM:人間のトレーダーが取引を行うため、ヒューマンエラーが発生する可能性があります
- EA:定められたルールに従ってシステムが自動的に取引を行います
2. 相場変化への対応力
- MAM/PAMM:プロのトレーダーが急な相場変化にも臨機応変に対応できる可能性があります
- EA:特定の状況に対応するように設定されているため、予期せぬ相場変動に弱い面があります
3. 手数料の違い
- MAM/PAMM:利益が出た場合のみ、成果報酬として手数料を支払います
- EA:多くの場合、手数料はかかりませんが、中には有料のEAもあります
MAM/PAMMの危険性と注意点
MAM/PAMMには重大な危険性があります。
1. 詐欺まがいの勧誘が横行
SNS上では、MAM/PAMM口座への怪しい勧誘が多く見られます。
「絶対に儲かる」「初心者でも100%安心」「利回り200%以上は確実」などの過剰な勧誘文句には要注意です。
これらは多くの場合、IB報酬(FX版アフィリエイト)目的の勧誘です。
2. 運用実績や勝率の捏造
利用者を勧誘するために、運用実績や勝率を捏造するケースがあります。
特にPAMM口座は取引詳細が不透明なため、詐欺が起こりやすい仕組みと言えます。
3. MAM/PAMM口座自体が詐欺の可能性
過去には、勧誘先のMAM/PAMM口座そのものが詐欺だったケースも報告されています。
海外FXに「絶対に儲かる」方法はありません。
このような謳い文句でMAM/PAMM口座を勧められたら、まず疑ってかかるべきです。
もし気になるMAM/PAMM口座があれば、LPOAを必ず確認しましょう。
LPOAは「Limited Power of Attorney」の略で、MAM/PAMMを利用するための委任状です。
契約の詳細が記載されているので、利用前に必ず確認することが重要です。
MAM/PAMMのメリット
危険性が高いMAM/PAMMですが、以下のようなメリットもあります。
- トレードの知識が不要
取引の全てを他のトレーダーに任せるため、FXの知識がなくても利益が出る可能性があります。 - 時間を取られない
自分でトレードする時間がない人でも、利益を得られる可能性があります。 - トレードが学べる(MAM口座のみ)
MAM口座では、プロのトレード手法やロジックを学ぶことができます。
しかし、これらのメリットは危険性と比べると小さいと言わざるを得ません。
MAM/PAMMのデメリット
MAM/PAMMには以下のような重大なデメリットがあります。
- 大きな損失のリスク
運用者の力量によっては、大きな損失が出る可能性があります。自分でトレードしているわけではないので、損失が出ても納得しづらく、心理的な負担も大きくなります。 - 割高な手数料
利益の15~30%という手数料は非常に高額です。EAなどと比べると、その差は歴然としています。 - 運用停止のタイミングが制限される
多くの場合、最低1ヶ月程度のロックアップ期間が設けられており、その間は運用を停止できません。大きな損失が出ても、すぐに止めることができないのは大きなリスクです。 - 出金のタイミングが制限される
ロックアップ期間中や、運用者がポジションを保有中は出金ができないケースが多くあります。急に資金が必要になった場合に対応できません。 - トレードスキルが上達しない(特にPAMM口座)
PAMM口座では取引の詳細がわからないため、長期間利用してもトレードのノウハウやロジックを学ぶことができません。
MAM/PAMMが利用できる海外FX会社
MAM/PAMMを提供している主な海外FX会社は以下の通りです。
会社名 | 口座の種類 |
---|---|
GEMFOREX | MAM |
FBS | PAMM |
HotForex | MAM/PAMM |
Bigboss | MAM |
IronFX | PAMM |
LAND‐FX | PAMM |
TitanFX | MAM/PAMM |
AXIORY | MAM |
海外FX会社のMAM/PAMMの法的問題
海外FX会社が提供するMAM/PAMMには、重大な法的問題があります。
日本で投資のプロが顧客の代わりにFX取引を行う場合、金融商品取引法に定められている「投資運用業の登録」が必要です。
この登録には、国内の金融商品取引業の登録を受けていることや、株式会社の形態であることなどが条件となります。
しかし、MAM/PAMMを提供している海外FX会社の多くは、日本以外の金融ライセンスしか持っていません。
つまり、日本の金融庁の「投資運用業の登録」を受けていないケースがほとんどです。
これは、海外のFX会社が日本の法律上、違法行為をしていることを意味します。
一方で、日本人がこうした業者を利用すること自体は、特に違法行為ではありません。
しかし、海外のFX業者はサービスの質や安全性に問題がある場合が多いため、国内のFX会社の利用を強くおすすめします。
海外の業者を利用したい場合は、日本に法人を持つ外資系業者の利用を検討するのが賢明です。
外資系FX会社と海外FX会社は似て非なるものです。
外資系FX会社は日本の法律に従って運営されているため、より安全性が高いと言えます。
まとめ:海外FXのMAM/PAMMはおすすめできない
以上、海外FXのMAM/PAMMについて詳しく見てきました。
結論として、海外FXのMAM/PAMMの利用は全くおすすめできません。
その理由は主に2つあります。
- グレーな部分が多すぎる
法律面での問題や、PAMM口座のブラックボックス的な性質、詐欺まがいの勧誘の横行など、不確実な点が多すぎます。
大切な資産を失うリスクの方が大きいと言わざるを得ません。 - FXトレーダーとして成長できない
特にPAMM口座では、自身のトレードスキルが全く上がらない状態で取引を続けることになります。
利益が出ている間はいいかもしれませんが、損失が続いた時に自力で回復する術を持っていないのは、長期的に見るとかなりのマイナスになります。
投資に絶対はありません。
簡単に儲かるように見える手法には、必ず大きなリスクが隠れています。
安易な手法に手を出さず、自分でしっかりとスキルを磨いていくことが、長期的に見て成功への近道となります。
海外FXのMAM/PAMMに魅力を感じても、その危険性を十分に理解し、慎重に判断することが重要です。
自分の大切な資産を守るためにも、こうした危険な手法には手を出さないようにしましょう。
代わりに、信頼できる国内のFX会社を選び、少しずつ自分でトレードのスキルを磨いていくことをおすすめします。
時間はかかりますが、それが最も安全で確実な方法です。
焦らず、着実に進んでいくことが、FXで成功する秘訣なのです。