FX市場もクリスマスと元旦は休み。いつもとは違った注意が必要
公開日:2025.02.07
更新日:2025.02.07
海外FXの市場も、クリスマスと元旦は休みです。この時期は、普段とは違う注意が必要になります。
通常、海外FXの市場は24時間いつでも取引できますが、クリスマスから年末年始のシーズンは特別です。欧米の多くの国がホリデーシーズンになるため、為替レートの動きが普段とは異なることがあります。この期間に取引を考えている人は、いつも以上にリスク管理に気をつける必要があります。そうしないと、思わぬ損失を被る可能性があります。年末年始の取引は特に注意が必要です。
この記事の見出し
海外FX市場が休みの期間中の特徴
海外FX市場に参加する人の数が少なくなる
日本では12月29日から翌年の1月3日までが一般的な年末年始の休暇ですが、海外FX市場に大きく影響を与える欧米諸国では少し違います。欧米では、クリスマスイブの12月24日から翌年の1月1日までがクリスマス休暇となります。この期間、為替ディーラーを含む多くの企業が休みになり、活動しません。
さらに重要なのは、クリスマス当日と1月1日は海外FX市場自体が休みになることです。そのため、この期間に海外FX市場に参加している人は極端に少なくなり、取引も普段よりも少なくなります。
海外FX市場の流動性が低下
海外FX市場に参加する人が少なくなると、市場全体の取引量も減少するため、必然的に市場の流動性が低下します。流動性が低い状態とは、買い手・売り手ともに取引を控え、通貨の取引自体が成立しにくくなる状態のことを指します。さらに、取引をするたびに海外FX業者から徴収される手数料(スプレッド)が広くなる傾向があります。
このような状態では、ちょっとしたことがきっかけで市場が予期せぬ大きな値動きを示すことがあります。そのため、取引する人は想定外の事態に巻き込まれてしまう可能性があるので、いつも以上にリスクを減らす対策が必要になります。
年始の休み明け初日は特に注意が必要!徹底したリスク管理を
休み明けの急激な相場変動に要注意!
年末年始の休みの期間中だけでなく、休み明けの海外FX市場では通常よりも値動きが大きくなる傾向があります。この値動きが極端に激しくなると、フラッシュクラッシュと呼ばれる現象が起こります。フラッシュクラッシュとは、短時間で為替相場が一方向に大きく変動することを指します。市場の流動性が低い状態では、このフラッシュクラッシュが起こりやすくなります。
最近の実例として、2019年1月3日朝の円相場のフラッシュクラッシュがあります。1ドル=108円台後半で推移していた円相場が、3日午前7時半すぎにわずか1分間で約4円も急騰しました。このフラッシュクラッシュには複数の要因が指摘されていますが、その一つに海外FX市場に大口の参加者が不在だったことが挙げられています。
1月3日は日本が正月休みの最中で、生命保険会社や輸出入企業といった為替相場に一定の影響力を持つ大口の機関投資家も休んでいました。そのため、進行する円高に対して円売りで対抗できるような参加者がいなかったことも円高に拍車をかけたのではないかと言われています。
海外FX業者だからこそ安心できる点
2019年1月のフラッシュクラッシュだけでなく、過去にもトルコリラの暴落やスイスフランショックなど、フラッシュクラッシュと呼べるような出来事が何度か起きています。
このような状況で取引中の通貨(ポジション)を持っていると、大きな損害を受ける可能性があります。国内のFX業者では「ゼロカットシステム」を採用していないため、損失が拡大して口座残高がマイナスになると追加で資金を入金しなければなりません。
一方、海外FX業者のほとんどは「ゼロカットシステム」を採用しています。このシステムでは、口座残高がマイナスになったとしても、業者がマイナス分を補填してくれるので、入金した金額以上に損失が広がることはありません。
1月のフラッシュクラッシュの際も、海外FX業者を利用していた人たちは、損失が拡大せずに済んだケースが多かったようです。
休み期間に入る前に徹底したリスク管理を
海外FX業者を利用し、ゼロカットシステムで守られていたとしても、予想外の損害を受けることは避けたいものです。ここでは、海外FX市場が休みに入る前のリスク管理について見ていきましょう。
もっとも有効なリスクを減らす方法は、市場が休みに入る前に持っている通貨ペアの取引を全て終了することです。取引を終了すれば、為替相場にどれだけ急激な値動きがあったとしても、自分に損害が発生することはありません。
次に検討する方法は損切り注文(ストップロスオーダー)を設定することです。取引を終了すれば損失が発生することもありませんが、利益を得られることもありません。海外FX市場が休みの期間でも利益を狙う積極的な人であれば、損切り注文の設定をすることで万が一損失が発生した場合でも、その被害を最小限に抑えることができます。
いずれにしても海外FX市場が休みの期間は、思わぬ値動きが普段よりも起こりやすくなるので、リスク管理はしっかりと行っておくべきです。
日本銀行による海外FX市場のモニタリング
海外FX市場が休みでも市場を常時監視している
日本銀行(日銀)は、急激な為替レートの変動に備えて、常に海外FX市場を監視し、必要があれば為替に介入する体制を取っています。
この監視は年末年始に限らず、祝日が重なり休みの期間が長くなる際にも行われています。例えば、2019年4月下旬から5月上旬までの10連休の期間も監視が行われていました。大型連休前の4月19日に、日銀と金融庁、財務省の3者会合が開かれ、「大型連休中も平日と同様に市場を監視する」ことを表明しています。
この対応は、前述した1月3日の急激な為替変動(フラッシュクラッシュ)が発生したことを念頭に置いたものです。大型連休中にドル/円相場が過度に変動しないように警告する狙いがあったと言われています。
為替のコントロールは簡単ではない
日本銀行(日銀)は為替相場を常に監視していますが、2019年1月の急激な為替変動(フラッシュクラッシュ)を防ぐことができませんでした。
日銀はこれまでにも、円高が進みすぎた際には、円を売ってドルを買う為替介入をして相場を円安方向に導くことをしてきました。しかし、1月のフラッシュクラッシュはごく短時間で急激に円高に振れたこともあり、日銀は十分にその機能を果たせませんでした。これは、日銀でさえ複雑な要因が絡んだ為替相場のコントロールが難しいことを示しています。
為替相場を複雑にしている要因の一つに、AI(人工知能)を取引に導入していることがあると指摘する見方もあります。AIは為替レートが一方向に動くと、その方向に追随する傾向があります。これが1月のフラッシュクラッシュで円高をさらに進行させた原因ではないかとも言われています。
まとめ
年末年始の休み期間中は、多くの時間を使って海外FXを行いたい人もいるかもしれません。しかし、クリスマスから年始にかけての海外FX市場は、普段とは異なる値動きを示すことが多いのです。実際に2019年の年始には急激な為替変動(フラッシュクラッシュ)も起きました。
このため、経験の少ない人はこの休み期間中の取引を避けたほうが安全と言えるでしょう。もし休みの期間に取引を考えている人がいる場合は、いつも以上にリスク管理を徹底し、損失を出さない対策を確実に取ってから取引をするようにしましょう。