海外FXにおけるキャッシュバックの税金に関する基礎知識
公開日:2025.01.23
更新日:2025.01.23
海外FXを始める時、口座を開設したり取引をしたりすることで、お金が戻ってくることがあります。これをキャッシュバックと呼びます。このキャッシュバックは、税金の面では個人の収入とみなされるので、税金を払う必要があります。
海外FXでキャッシュバックをもらいたい人は、税金の計算方法や注意点をしっかり理解しておくことが大切です。ここでは、キャッシュバックの仕組みと、海外FXの税金の基本的な知識をお伝えします。
この記事の見出し
海外FXで得られるキャッシュバック
海外FXのキャッシュバックとは?
海外FXのキャッシュバックは、口座を開設したり取引をしたりした時に、お金が振り込まれる仕組みのことです。海外FX会社が新しい口座を増やすために、キャッシュバックサイトを運営している会社にお金を払い、その一部が投資家に戻ってくるという仕組みになっています。
キャッシュバックをもらうには、以下の手順を踏みます。
- キャッシュバックサイトに登録する
- そのサイトを通じて海外FX口座を開設する
ただし、注意が必要です。登録する際には個人情報を入力することになるので、キャッシュバックの内容だけでなく、サイトが信頼できるかどうかもしっかり確認しましょう。
海外FXで生じた所得の課税方式と税率
国内FXの所得は申告分離課税方式
海外FXでもらえるキャッシュバックには税金がかかります。この仕組みを理解するには、まずFX全体の税金の仕組みを知っておくことが大切です。
FXの税金の仕組みは、国内FXと海外FXで異なります。国内FXで得た利益や、通貨ペアの金利差でもらえるスワップポイントには、申告分離課税方式が使われます。
申告分離課税方式とは、他の収入とは別に税金を計算し、原則として確定申告が必要になる方式です。この収入は、先物取引に関する雑所得という分類になります。税率は一定で、所得税と住民税を合わせて約20%となっています。
海外FXの所得は総合課税方式
海外FXで得た利益やスワップポイントなどの所得には、総合課税方式が使われます。所得税の総合課税とは、給与所得や事業所得など、海外FX以外の所得も全部合わせて計算し、その合計金額に対して段階的に上がっていく税率(超過累進税率)を適用して所得税額を決める方法です。
所得税に加えて、所得税額の2.1%の復興特別所得税と10%の住民税も払う必要があります。海外FXで得た利益は、公的年金等以外の雑所得という分類になります。
超過累進税率とは?
海外FXの所得税を計算する時に使う超過累進税率は、所得が多くなるほど税率が上がっていく仕組みです。最も低い税率は5%で、最も高い税率は45%です。この仕組みでは、所得が少ない人は税金の負担が軽くなります。
一方で、所得が多い人は税率を上げて、より多くの税金を払ってもらうという考え方を取っています。海外FXで大きな利益を得ると、国内FXよりも税金の負担が重くなることがあります。逆に、海外FXの利益が少額なら、国内FXよりも税金の負担は軽くなる可能性があります。
国内FXにおけるキャッシュバックの税金
口座開設に関するキャッシュバックは一時所得
国内FXで得た所得は、先物取引にかかる雑所得として扱われ、申告分離課税が適用されます。取引量に応じてもらえるキャッシュバックも、この所得区分に含めて計算します。
しかし、口座開設に関するキャッシュバックは例外です。口座開設はFX投資を始める前の準備で、実際の取引ではありません。そのため、先物取引にかかる雑所得ではなく、一時所得として扱われます。一時所得には、クイズの賞金など、事業や取引以外で一時的に得る利益が含まれます。
キャッシュバックをもらった場合は、口座開設によるものと取引によるものを区別して記録しておくことが大切です。
一時所得の課税計算
口座開設でもらったキャッシュバックの一時所得は、次のように計算します。
一時所得 = キャッシュバック金額 – 特別控除50万円
口座開設キャッシュバックが50万円以下の場合、一時所得はゼロになるので、確定申告に含める必要はありません。
特別控除50万円を超える場合は注意
国内FXの口座開設キャッシュバック金額が50万円を超える場合は、特に注意が必要です。キャッシュバックが50万円を超えると、特別控除を引いてもゼロにならないため、一時所得が発生します。この場合、確定申告が必要になります。
一時所得は総合課税の対象となるため、給与所得など総合課税対象の所得と合わせて、課税総所得金額に含めることになります。
また、一時所得を課税総所得に含める際は、一時所得の半分だけを算入するという点も覚えておくと良いでしょう。
海外FXにおけるキャッシュバックの税金
公的年金等以外の雑所得に該当
海外FXの場合、取引に関するキャッシュバックも口座開設によるキャッシュバックも、すべて公的年金等以外の雑所得として所得計算を行います。収入としては、売却益とスワップポイント、そしてすべてのキャッシュバックを含め、そこから必要経費を引いて所得金額を求めます。
必要経費には、海外FXセミナーへの参加費用や海外FXについて書かれた本の代金など、海外FXに直接関係する支出が含まれます。公的年金等以外の雑所得金額が決まったら、所得税については他の所得と合わせて計算し、総合課税方式で税額を算出します。
損益通算は不可
海外FXでのキャッシュバックは常にプラスの所得になりますが、売却損が出たり、スワップポイントがマイナスになったりすると、公的年金等以外の雑所得が赤字になる可能性があります。海外FXの所得がマイナスになった場合、副業所得など同じ公的年金以外の雑所得に分類される所得と相殺できます。これを内部通算といいます。
しかし、相殺しても海外FXの赤字が残る場合や、海外FXの赤字以外に公的年金等の雑所得がない場合は、給与所得や事業所得など別の所得と相殺することはできません。所得区分をまたいで損益を相殺することを損益通算といいますが、海外FXで生じた損失はこの損益通算として認められていません。
損失の繰越控除も不可
株式投資や国内FXで損失が出て、内部通算しても赤字が残る場合、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越し、翌年以降に生じる利益と相殺することが認められています。これを損失の繰越控除といいます。
しかし、内部通算できなかった海外FXの損失については、この損失の繰越控除は認められていません。海外FXで損失が生じた場合、節税の方法が限られていることを理解しておくことが大切です。
まとめ
海外FXで得られる所得には、売却益やスワップポイントだけでなく、キャッシュバックも含まれます。これらは公的年金等以外の雑所得に分類され、段階的に税率が上がる総合課税方式で課税されます。海外FXの口座開設や取引でキャッシュバックを受け取った場合は、確定申告が必要かどうか必ず確認しましょう。
キャッシュバックの種類については、海外FX業者情報サイトのfxplusなどで調べることができます。これらのサイトを積極的に活用して情報を集めることをおすすめします。
また、海外FXで損失が出た場合は、損益通算や損失の繰越控除が使えないため、できるだけ赤字にならないよう慎重に取引することが大切です。